安田浩一「ネットと愛国」を読んで

在日朝鮮人への口汚いヘイトスピーチで方々からひんしゅくを買っている右翼風市民団体「在日特権を許さない市民の会」(略して「在特会」)のルポタージュである。
この種のルポタージュにありがちな、超然主義的な立ち位置から取材対象を「観察」するかのような賢しらさは無く、自身とは相容れないながらも彼らに密接した誠実な取材姿勢には素直に好感が持てる。

在特会に入会しヘイトスピーチ全開のデモに参加する人らってのは、別に政治の世界にどっぷり漬かった奇人変人でもなく、そこらにいる普通のアンちゃんネエちゃん達である。その普通の人達が「電波」を受信し痛々しく「覚醒」する。そこに底知れぬ恐ろしさがある。在特会は我々が思ってる以上に我々に近い所にある。
決して他人事ではない。